素人さんの為の不動産学校:2025年04月

2025年04月

2025年04月22日

豪快なる男の終焉と私の恩返し（No.2611)

豪快なる男の終焉と、恩を返す不動産屋の矜持

今回のブログは、いつもの感じではなく、ノンフィクション小説っほく書いてみます！

第一章　北新地の涼子ママの涙（４年前の出来事）

大阪・北新地
煌びやかなネオンが夜空を彩る中、北新地クラブで、涼子ママが話し出したのは、４年前のことだった。

いつも私には、強気にオチャラケて話をする涼子ママが、それまで座っていた若い女の子を他の席にいかせて、眉をひそめながら話をしてきた。

「近藤さん・・・前にも話したことなんやけど・・・もう、限界なんよ」

60歳を迎えても気品と色気を纏った涼子ママが、唇を噛みながらぽつりと漏らした。

涼子ママ　「田中会長……現社長の息子さんから、会社への請求書送りを断られた話は、前にしたと思うんやけど・・・、とうとうカードも止められてもうて、先月、店へのツケがもう1000万超えたわ。　最近は、行きつけの寿司屋にもツケがたまってたんで、私が、立て替えたんよ～。　田中会長には、若い頃からお世話になってきたんで・・・私、なんとかしてあげたかったけど、これ以上は……」

涼子ママの眼には、長年連れ添った家族を思うような愛情があった。
田中会長と40年の付き合い。
バブル期以降、政財界、芸能人が集った、田中会長の黄金時代・・・
私は、25年前ぐらいからしか知らないが、会長の豪快さと器の大きさは凄かった。

涼子ママは、私よりも10年以上古い付き合いなので・・・田中会長の成長や成功のストーリーも知っているわけで・・・不憫なんだろうな～と・・・感じました。

涼子ママ　「……ほんまに、会長の息子さん、冷たいねん」

私は、静かに頷いた。
かつて、夜の街で共に豪遊した田中会長。北新地でも、祇園でも、「近藤、今日はお前の好きな酒を開けろ」と笑っていた豪快な男が、今や息子に財布を握られ、惨めな姿になっている。

私　「う～ん・・・。　ママ……任せといて。俺が、なんとかするわ！　但し、涼子ママと会長には協力してもらわんとあかんと思うけど・・・！」

そう言った瞬間・・・具体的な策が思い浮かんでいたわけではないが、私の中で何かが決まった。

第二章　豪快な男との出会い

時は遡り、二十数年前。

まだ30代だった私は、愛知県津島市を拠点に千代田不動産を立ち上げ、まだ名古屋支店もない時代！
右も左も分からないながらも突っ走っていた。

先輩に連れてきてもらった北新地のクラブで涼子ママと出会い・・・大阪に行く度に通うようになり・・・、そんなある日、偶然、隣に座っていた田中会長と運命的に出会った！

涼子ママと私は、歳が近いので、ワイワイ楽しそうにふざけ合ってたのが気になったのか、隣の席の田中会長が、声をかけてきた。

常識的に、クラブで隣の客に声をかけるのは御法度なんですけど・・・、その場は、涼子ママが間に入り・・・上手にお互いを繋いでくれました。

田中会長との話がはずみ・・・田中会長からドンペリを一本頂いたので・・・、私から、ドンペリより少し高いクリュグをおろして返した！

田中会長　「なんや兄さん、若いのに度胸あるな！　高いシャンパンで返盃してくれるんか！」

スーツの似合う白髪の爺さんが、笑いながら声をかけてきた。

田中会長、当時60歳過ぎていたと思う・・・
後から知ったのだが・・・
戦後の高度経済成長で、のし上がり20以上の収益ビルを法人で持つ、関西不動産界のレジェンドだった。
私は、愛知県の田舎の、駆け出しの不動産屋！

田中会長　「初対面やけど・・・お前、昔の俺みたいや！あはははっははは！　　　涼子ママ、返盃の返盃や！　ドンペリピンク！　これでドンペリ紅白や！　ガハハハはははw」

それがきっかけだった。

その後、ちょくちょく誘われるようになり・・・

北新地、祇園、たまに銀座……夜の街を共に飲み歩き、私は会長から人の扱い、酒の飲み方、そして不動産の魂を学んだ。

今だから、正直に言います・・・
この当時、田中会長にご馳走になるばかりでは嫌なので、たまに私が払うこともありましたが・・・

たまに払う食事代、自分の宿泊費や交通費も、当時の私には厳しく、無理していましたw

そんな事はお見通しだったんでしょうね。

「若いうちは無理をしてでも金を使え！　金はな、回せる奴が勝つんや！　無理して回していると、回せようになるんや！」
「一番大事なんは人や！　金やない、人やぞ！　人の為に金と労力を使うんだ！」

今でもその言葉が、私の心に残っている。

さて、ここまで書いたところで・・・話の途中ですが・・・。

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ありがとうございます・・・

ブログの続きです。

第三章　会長の息子と、崩れゆく関係

月日は流れ、田中会長は80代になり、会社の実権を息子に譲った。

息子は57歳、東京の名門大学を出て、高学歴・見た目もスマートで理論派で、跡取りとしては申し分なく育ったわけです。
だが、心に温度がなかった。

父の時代はもう古い！俺の方が優れている！・・・とでも思っていたのでしょう！

田中会長のおかげで、ボンボンで育ったくせに・・・
田中会長が育てた社員たちを左遷し、解雇に追い込み、自分が実権を握った！

会社に請求書送りにしていた田中会長の交際費はカットされ、経営者仲間との旅行代、食事代、飲み代も、徐々に減らされて・・・北新地のクラブでの飲み代も却下された。

私は、以前、田中会長から息子さんを紹介され、２～３回、食事をしたり飲んだりしたことがあったので、息子（現在の社長）に電話をした。

息子に世代交代をしてから初めて話をしたので、かなり久しぶりに話をしたのだが・・・以前は、ヘコヘコしていた息子が、以前とは打って変わって堂々と強気で話をしてくるので、嬉しい反面、ちょっと生意気だな～なんてことも思った。

ちょっと世間話をしてから会長の話をした。

私　「社長・・・会長の件なんですが・・・、飯屋、飲み屋のツケがたまっていて・・・このまま放置しておくと、この手の話は、広がるのが早いし、格好つかなくなりますよ！」

社長（息子）「その話ですか・・・、近藤さんも知っての通り、飲む、打つ、買う、放っておくと毎月、何百万円・・・一昨年の年末分については、１０００万円以上の請求がきまして・・・。　その時は、お支払いさせていただきましたが・・・。　流石に、父を叱りましたよ！　そして、顧問弁護士から、会長個人の飲食代は今後一切お支払いをしません！と通達をしました。　法人のものは父のもんじゃないんで・・・」

私　「なるほど・・・。　会長も、まあまあ豪快ですからねw w w　ただ、その人脈で、今の御社があるわけじゃないですか！　裸一貫から、ここまで来るには、銭をばら撒くことも必要だったと思いますよ！　国会議員や、大手企業の役員たちにも、友達のように電話されて、すごい人ですよw それくらいは分かってますよねw　もしかして、会長の飲み代が払えんぐらい業績悪いの？」

社長（息子）「そんなことはないのですが、会長も歳をとってから、お金を使う部分が、事業のためではなく、今までの流れでやってるだけで、何のプラスにもなってないんです。　法人の売上に寄与しているとは思えないんです。」　

私　「そこの判断は難しいけど・・・会長の息子という恩恵を受けて仕事がうまくいっているという部分もあるんじゃないの？　人間、ルーツを忘れたらあかんよ！　親から全てを取り上げて、乞食みたいにして放っておくと息子が笑われるんじゃない？　とりあえず、人様に迷惑かけている部分は精算した方がいいんじゃない？」

社長（息子）「近藤さん、相変わらず厳しい言い方をしますな～w　何度も言いますけど、個人と法人は別なので・・・」

私　「そんなこと言われんでも、分かっとるわ！　会長の個人預金は、奥さんが押さえて・・会社の関係は、お前が押さえて・・・個人も会社も、何もできんようにしとるだろう！　こういう言い方したくないけど、もう老い先短いんだから好きにさせてあげたら？　金がないわけじゃないんだし・・・」

社長（息子）「近藤さん！　飲み食いして仕事も一緒に頑張りましょう！・・・もうそんな時代じゃないでしょうw 近藤さんも、もう父に関わってもいいことないですよ！　飲食関係の人たちに泣き付かれてるのかもしれませんけど・・・父が行く店には、すでに通達してありますので、その後のツケは、１円も払う気はありません。」

私　「そうか・・・w お前は、親に尻拭いて育ててもらったのに、親の尻は拭けない！ってことだな？　会長の唯一の失敗作は、お前だなw 　まあ、いいわ・・・　話にならんな・・・」

ということで・・・話は終わった！

息子である社長は・・・合理的な判断・・・正解なんだけど・・・人としての情が感じられない。

その後も、田中会長は、自由を奪われていった。

カードは止められ、運転手は解雇、食事も一人でファミレス。

お金が使えなくなった田中会長の周りから人が去っていき、誰も寄り付かなくなった。

それでも、僅かだが、昔、田中会長にお世話になった人たちが支えようとしていた！
そのうちの一人が、涼子ママなのです。

第四章　根抵当という逆襲

涼子ママ　「近藤さん、会長が可哀そうで……もう見てられへん」

涼子ママが溢した言葉に、近藤は火がついた。

私　「涼子ママ、田中会長の会社関係、個人の預金等は、息子と奥様が握ってるから、なんともならんし・・・、仮にできたとしても、すぐにバレる！　確か、新地に、田中会長名義のビルがあっただろ？　根抵当つけようか。あれ、７億の価値があるから・・・。５０００万くらい根抵当権か代物弁済予約つけて、俺がお金を貸すわ！」

涼子ママ　「何言ってのんのか全く分からんけど、田中会長が、以前のように戻れるんだったら嬉しいわw でも、近藤さんがお金を貸すって・・・ほんまにええの……？」

私「田中会長に話をして、本人がOKすれば、俺が金貸す。　年利１％で・・・w 安いだろ？w まず手始めに3000万、田中会長に私から渡す！　そこで、田中会長から、ママが預かって、その後は管理してもらう！　あとは俺に任せて・・・！」

その後、新大阪のヒルトンホテルのエグゼクティブラウンジで、田中会長に話をして、後日、涼子ママ、弁護士、司法書士立ち合いの元、必要な書面を交わし、登記をして・・・、北新地のビルを担保に３０００万円のお金を貸しました。

ただ・・・涼子ママは、お金を３０００万円預かるのが嫌だったようで・・・とりあえず、１３００万円だけ預かり、自分も含めて、田中会長の借金を精算して・・・残りのお金は、田中会長に返していました。

田中会長も、「近ちゃん、涼子ママ、すまんな」とだけ言って、あとは何も聞かなかった。

そうして会長は、再び夜の街に姿を現すようになったが、以前のような使い方をすることはなく、涼子ママと食事をして、店に行くぐらいで・・・以前よりは、だいぶおとなしくなった！

まあ、とりあえずのところ・・・丸くおさまった感じだが・・・・、私は、いつか、田中会長の息子や奥様と、揉める日が来るな～と・・・思いながらも、腹は括って覚悟していた！

第五章　訃報と、遺された想い
それから３年半後――

涼子ママ　「近ちゃん！　今、電話大丈夫？　　会長が・・田中会長が、北新地で倒れはって……病院に運ばれてんけど……　」

私　「そうか・・・すぐ行くわ！」　

涼子ママからの一本の電話。私は、予定を全てキャンセルして、名古屋から新幹線に飛び乗り、すぐに病院へ駆けつけたが、会長は意識が戻らぬまま・・・、その四日後に旅立った。

祭壇には、笑顔の遺影。

お焼香をしながら、私は、涙を堪えて唇を噛んだ。

（会長……俺、間に合わへんかったな！　まあ、でも、死ぬまで飯も酒も飲んで幸せだっただろ？　あとは、田中会長が使った金、回収させてもらうけど、悪く思わんといて～な！）

というわけで・・・、まだ終わりではなかった。

貸した金、総額４２５０万・・・溜まっていた！

この金を回収しなければならない。

第六章　怒りと矜持

葬儀が終わり、49日が過ぎた頃。

私は、田中会長が興した不動産会社の社長（息子）のところへ、アポ無しで訪れた。

社長（息子）は、いなかったが・・・。

私　「悪いけど、息子さんに伝えてくれ。　俺は会長に４２５０万貸したんだけど・・・返してくれ。　返さへんかったら、法的措置を取らせていただきます。　今日中に電話をいただけるように・・・あっ、もう一つ、今週中に金返して・・・って言っといて・・・w」

受付は困惑しながらも、伝言を承った。

当日と言っておいたのに・・・、翌日、電話が鳴ったw

社長（息子）　「よく話が見えません！　どういうことですか？　一度、大阪に来てください」

私　「なんやと？　この前はこっちが行ったんや。今度はお前が来いや」

後日、弊社　名古屋の千代田不動産支店にて、対話の場が設けられた。

応接室には、息子、顧問弁護士、そして会長の奥様の姿。

私は語った。

過去、恩義、そして３年間のこと・・・私が、新地のビルを担保にお金を貸したことも話した。

先週、大阪に行った際に、当日電話をしろと言ったのに電話してこなかった事、今週中に金を返さんと法的措置をとるという話もしたのに、金返ってきとらん話をしながら感情的に話をした。

社長（息子）は、一生懸命、必死で言い訳をしていたが・・・・。

私　「お前らな……会長は、会社をゼロから作った男や。豪快やったけど、人を惹きつける魅力があったんや。　自分を育ててくれて、会社と財産を残してくれた親に・・・そんな親に、お前は何をした？」

社長（息子）は黙って聞いていたが、「満額返すので、即、解除してほしい」と申し出た。

私　「いいよ！　まあ、会長も、好きなことやって死ねたから俺の目的は達成したw ただし、条件がある」

私は言った。

私　「会長の墓前で、ちゃんと感謝を伝えろ。そして、北新地の涼子ママに礼を言って、ちょっとでええからお礼金包んで菓子折り持ってけ。　受け取るかはママ次第やけど、それぐらいはしないとバチがあたるぞ！」

息子は反論しかけた。

社長（息子）「そんな必要があるんですか？」

私はニヤリと笑いながら言った。

私　「お前、本当に、天性のボンボンだなw つける薬がないわ！　もう一回、同じ話をしたろか・・・田中会長はな～・・・」

私の話を遮るように、弁護士が口を開いた。

弁護士　「……近藤さんの条件は、良心的です。手を打ちましょう」

私　「先生、人の話を中断させたのはムカついたけど・・・その判断は正解！　俺は、田中会長が最後まで、自分の好きな生き方をできたので、それで満足してる！　あとは、バカ息子に、田中会長に申し訳ないことをした自覚をしてもらいたいのと、会長への感謝！　会長の周りの人への感謝！　それだけでいい！　」

そして2025年2月、正式に決着がついた。

最終章　恩を返すということ

全てを終えた私は、涼子ママと電話で話をした。

涼子ママは、店にいる時間ではなかったが、一応、話せる状態か確認をしてから、私自身も、一旦、心を落ち着けて話し始めた・・・。

私　「涼子ママ、会長の件、決着がついたよ！　会長が使った金、全部回収できたし、まあ、ちょっと儲かってしまったというか・・・！ちょっと懲らしめたというか・・・　涼子ママに半分あげるわ・・・w 税務上、領収書は、欲しいけど・・・。　最後まで会長の面倒見てたんだし、今度、飲みにいきがてら、持ってくわ！」

涼子ママ　「近藤さん……ほんま、ありがとう。　でも、お金はいらんわ！　近藤さん、長い間、お金を立て替えてたんやし、貰っといてもバチ当たらへんと思うわw　お金は受け取れないけど、大阪に来た時は、また飲みにきて！」

私　「あははははw それは、もちろん！　出禁と言われない限り行くけど・・・・w ハァ～・・・w 終わったな～・・・涼子ママ、田中会長、あの世で笑ってると思うわ！　あの人、最後まで北新地におれたんやからな。」

私は、自分の頭の中に浮かんだ会長の遺影に向かって、心の中で呟いた。

（会長……俺、やりましたで～w また天国で、一緒に飲みましょうやw）

エピローグ

今回の件で、改めて思ったことがある。

「俺たちは、不動産屋である前に、人間」

金の計算ばかりの世の中で、忘れかけていた“情”や“恩”を、今回のことで強く感じた。

会長のような豪快な人間が減った今だからこそ、俺は俺のやり方で、人を助けたい。

読者の皆さん、もしあなたが理不尽な思いをしているなら、俺に相談してほしい。

近藤利一、５５歳　まだまだ現役！笑

これからもこのブログで、真実を伝え続けていきます。

今回のブログを書き始めたのは２年前です。
途中まで書いてありましたが・・・・ずっと下書きのままでした。
所々編集しながら、やっと書き上げることができました。

今回、【素人さの為の不動産学校　ノンフィクション小説風】で書かせていただきました。

感想等がありましたら、コメントください！

そんなわけで、今回は、ここまでとさせていただきます。

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